洒落怖な話

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    860 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 投稿日: 2001/02/28(水) 20:59
    僕はいつも学校に行くためにバスに乗ってるんですけど、 
    そのバスは右に曲がった 
    そのいつも乗ってるバスで、ある日おかしな事があったんです。 
    だって、いつものような、おばあさんもがいるから、 
    最後まで行ったんです。痛いから。 
    それで、そこまでは別に良かったんですけど、めちゃくちゃ 
    大きい紙袋の紙じゃない版みたいなのがあって、 
    ボールみたいなのもあって、シルクハットをかぶってる人も 
    いっぱいいたんです。 
    おかしいですよね?普通の道を通ってるのに。 
    それでもバスはずうっと普通に進んでたんですけど、 
    ある道を左に曲がった所で、いきなり急ブレーキをしたんですよ。 
    それで、本当に急にキー---って止まったんで、 
    中に乗ってた人が、バランスを崩してこけそうになったんです。 
    僕は席に座ってたんで大丈夫だったんですけど。 

    でも、本当におかしい事は、学校に行く直前に起こったんです。 
    そのバスはいつも、大きな公園の横を通って行くんですけど、 
    その頃、ちょうどそのいつもの道は工事してたんで、 
    ちょっと遠回りして、トンネルがある方の道から行ってたんです。 
    それで、そのトンネルのちょうど真中ぐらいまで通ったところで、 
    そのバスが”ガチャ”とか言いながら止まったんです。 
    僕はもちろんおかしいな、と思いました。 
    で、気づくと、バスは既に学校前のバス停に着いてました。 
    僕は、あれ?おかしいなぁ?とか思いながらバスを降りて、 
    その日も普通に学校に行きました。 
    そのバスに乗ってた人はもうみんな死んだんですけど。 

    引用元:死ぬ程洒落にならない話集めてみない?PART3!


    この話の答え合わせの話は、下記サイトにあります。
    http://nazolog.com/blog-entry-1622.html

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    452 :その1:2005/09/21(水) 16:10:58 ID:GJUzoiep0
    俺、建築関係の仕事やってんだけれども、先日、岩手県のとある古いお寺を解体することに 
    なったんだわ。今は利用者もないお寺ね。んでお寺ぶっ壊してると、同僚が俺を呼ぶのね。 
    「~、ちょっと来て」と。俺が行くと、同僚の足元に、黒ずんだ長い木箱が置いてたんだわ。 

    俺「何これ?」 
    同僚「いや、何かなと思って・・・本堂の奥の密閉された部屋に置いてあったんだけど、 
       ちょっと管理してる業者さんに電話してみるわ」 

    木箱の大きさは2mくらいかなぁ。相当古い物みたいで、多分木が腐ってたんじゃないかな。 
    表に白い紙が貼り付けられて、何か書いてあるんだわ。相当昔の字と言う事は分ったけど、 
    凡字の様な物も見えたけど、もう紙もボロボロで何書いてるかほとんどわからない。 
    かろうじて読み取れたのは、 

    「大正??年??七月??ノ呪法ヲモッテ、両面スクナヲ???二封ズ」 

    的な事が書いてあったんだ。木箱には釘が打ち付けられてて開ける訳にもいかず、 
    業者さんも「明日、昔の住職に聞いてみる」と言ってたんで、その日は木箱を近くの 
    プレハブに置いておく事にしたんだわ。 

    453 :その2:2005/09/21(水) 16:31:26 ID:GJUzoiep0
    んで翌日。解体作業現場に着く前に、業者から電話かかってきて、 

    業者「あの木箱ですけどねぇ、元住職が、絶対に開けるな!!って凄い剣幕なんですよ・・・ 
       なんでも自分が引き取るって言ってるので、よろしくお願いします」 

    俺は念のため、現場に着く前に現場監督に木箱の事電話しておこうと思い、 

    俺「あの~、昨日の木箱の事ですけど」 
    監督「あぁ、あれ!お宅で雇ってる中国人(留学生)のバイト作業員2人いるでしょ? 
        そいつが勝手に開けよったんですわ!!とにかく早く来てください」 

    嫌な予感がし、現場へと急いだ。プレハブの周りに、5~6人の人だかり。 
    例のバイト中国人2人が放心状態でプレハブの前に座っている。 

    監督「こいつがね、昨日の夜中、仲間と一緒に面白半分で開けよったらしいんですよ。 
        で、問題は中身なんですけどね・・・ちょっと見てもらえます?」 

    単刀直入に言うと、両手をボクサーの様に構えた人間のミイラらしき物が入っていた。 
    ただ異様だったのは・・・頭が2つ。シャム双生児?みたいな奇形児いるじゃない。 
    多分ああいう奇形の人か、作り物なんじゃないかと思ったんだが・・・ 

    監督「これ見てね、ショック受けたんか何か知りませんけどね、この2人何にも喋らないんですよ」 

    中国人2人は俺らがいくら問いかけても、放心状態でボーっとしていた(日本語はかなり話せるのに)。 
    459 :その3:2005/09/21(水) 17:07:49 ID:GJUzoiep0
    あ、言い忘れたけど、そのミイラは 
    「頭が両側に2つくっついてて、腕が左右2本ずつ、足は通常通り2本」という 
    異様な形態だったのね。俺もネットや2ちゃんとかで色んな奇形の写真見たこと 
    あったんで、そりゃビックリしたけど、「あぁ、奇形か作りもんだろうな」と思ったわけね。 

    んで、例の中国人2人は一応病院に車で送る事になって、警察への連絡はどうしようか、 
    って話をしてた時に、元住職(80歳超えてる)が息子さんが運転する車で来た。開口一番、 

    住職「空けたんか!!空けたんかこの馬鹿たれが!!しまい、空けたらしまいじゃ・・・」 

    俺らはあまりの剣幕にポカーンとしてたんだけど、住職が今度は息子に怒鳴り始めた。 
    岩手訛りがキツかったんで標準語で書くけど、 

    住職「お前、リョウメンスクナ様をあの時、京都の~寺(聞き取れなかった)に絶対送る 
       言うたじゃろが!!送らんかったんかこのボンクラが!!馬鹿たれが!!」 

    ホント80過ぎの爺さんとは思えないくらいの怒声だった。 

    住職「空けたんは誰?病院?その人らはもうダメ思うけど、一応アンタらは祓ってあげるから」 

    俺らも正直怖かったんで、されるがままに何やらお経みたいの聴かされて、経典みたいなので 
    かなり強く背中とか肩とか叩かれた。結構長くて30分くらいやってたかな。 
    住職は木箱を車に積み込み、別れ際にこう言った。 

    「可哀想だけど、あんたら長生きでけんよ」 

    その後、中国人2人の内1人が医者も首をかしげる心筋梗塞で病室で死亡、 
    もう1人は精神病院に移送、解体作業員も3名謎の高熱で寝込み、俺も釘を足で 
    踏み抜いて5針縫った。まったく詳しい事は分らないが、俺が思うにあれは 
    やはり人間の奇形で、差別にあって恨みを残して死んでいった人なんじゃないかと思う。 
    だって物凄い形相してたからね・・・その寺の地域も昔部落の集落があった事も 
    何か関係あるのかな。無いかもしれないけど。長生きはしたいです。 


    468 :その3:2005/09/21(水) 17:40:58 ID:J0sPTefW0
    ID変わっちゃったけど452です。いきなりブラックアウトして電源落ちたんでビビッた・・・ 
    俺だってオカ板覗くらいだから、こういう事には 
    興味しんしんなので、真相が知りたく何度も住職に連絡取ったんだけど、完全無視でした。 
    しかし、一緒に来てた息子さん(50過ぎで不動産経営)の連絡先分ったんで、 
    この人は割と明るくて派手めの人なんで、もしかしたら何か聞けるかも?と思い 
    今日の晩(夜遅くだけど)飲みに行くアポとれました。何か分ったら明日にでも書きますわ 
    491 :452:2005/09/21(水) 22:27:34 ID:ERc7KoX60
    すんません。直前になって何か「やはり直接会って話すのは・・・」とか言われたんで、 
    元住職の息子さんに「じゃあ電話でなら・・・」「話せるとこまでですけど」と言う 
    条件の元、話が聞けました。時間にして30分くらい結構話してもらったんですけどね。 
    なかなか話し好きなオジサンでした。要点を主にかいつまんで書きます。 

    息子「ごめんねぇ。オヤジに念押されちゃって。本当は電話もヤバイんだけど」 
    俺「いえ、こっちこそ無理言いまして。アレって結局何なんですか??」 
    息子「アレは大正時代に、見世物小屋に出されてた奇形の人間です」 
    俺「じゃあ、当時あの結合した状態で生きていたんですか?シャム双生児みたいな?」 
    息子「そうです。生まれて数年は、岩手のとある部落で暮らしてたみたいだけど、生活に窮した 
       親が人買いに売っちゃったらしくて。それで見世物小屋に流れたみたいですね」 
    俺「そうですか・・・でもなぜあんなミイラの様な状態に??」 
    息子「正確に言えば、即身仏ですけどね」 
    俺「即身仏って事は、自ら進んでああなったんですか!?」 
    息子「・・・君、この事誰かに話すでしょ?」 
    俺「正直に言えば・・・話したいです」 
    息子「良いよ君。正直で(笑) まぁ私も全て話すつもりはないけどね・・・ 
       アレはね、無理やりああされたんだよ。当時、今で言うとんでもないカルト教団が 
       いてね。教団の名前は勘弁してよ。今もひっそり活動してると思うんで・・・」 
    俺「聞けば、誰でもああ、あの教団って分りますか?」 
    息子「知らない知らない(笑)極秘中の極秘、本当の邪教だからね」 
    俺「そうですか・・・」 

    499 :その2:2005/09/21(水) 23:25:00 ID:ERc7KoX60
    スマソ。またいきなりPCの電源切れて遅くなりました・・・ 

    息子「この教祖がとんでもない野郎でね。外法(げほう)しか使わないんだよ」 
    俺「外法ですか?」 
    息子「そう、分りやすく言えば(やってはいけない事)だよね。ちょっと前に真言立川流が、 
       邪教だ、外法だ、って叩かれたけど、あんな生易しいもんじゃない」 
    俺「・・・具体的にどんな?」 
    息子「で、当時の資料も何も残ってないし偽名だし、元々表舞台に出てきたヤツでもないし、 
       今教団が存続してるとしても、今現在の教祖とはまったく繋がりないだろうし、 
       名前言うけどさ・・・物部天獄(もののべてんごく)。これが教祖の名前ね」 
    俺「物部天獄。偽名ですよね?」 
    息子「そうそう、偽名。んで、この天獄が例の見世物小屋に行った時、奇形数名を 
       大枚はたいて買ったわけよ。例のシャム双生児?って言うの?それも含めて」 
    俺「・・・それで?」 
    息子「君、コドクって知ってる?虫に毒って書いて、虫は虫3つ合わせた特殊な漢字だけど」 
    俺「壺に毒虫何匹か入れて、最後に生き残った虫を使う呪法のアレですか?(昔マンガに載ってたw)」 
    息子「そうそう!何で知ってるの君??凄いね」 
    俺「ええ、まぁちょっと・・・それで?」 
    息子「あぁ、それでね。天獄はそのコドクを人間でやったんだよ」 
    俺「人間を密室に入れて??ウソでしょう」 
    息子「(少し機嫌が悪くなる)私もオヤジから聞いた話で、100%全部信じてるわけじゃ 
       ないから・・・もう止める?」 
    俺「すみません!・・・続けてください」 
    息子「分った。んで、それを例の奇形たち数人でやったわけさ。教団本部か何処か 
       知らないけど、地下の密室に押し込んで。それで例のシャム双生児が生き残ったわけ」 
    俺「閉じ込めた期間はどのくらいですか?」 
    息子「詳しい事は分らないけど、仲間の肉を食べ、自分の糞尿を食べてさえ生き延びねば 
       ならない期間、と言ったら大体想像つくよね」 
    俺「あんまり想像したくないですけどね・・・」 
    503 :その3:2005/09/21(水) 23:47:39 ID:ERc7KoX60
    息子「んで、どうも最初からそのシャム双生児が生き残る様に、天獄は細工したらしい 
       んだ。他の奇形に刃物か何かで致命傷を負わせ、行き絶え絶えの状態で放り込んだ 
       わけ。奇形と言ってもアシュラ像みたいな外見だからね。その神々しさ(禍々しさ?)に 
       天獄は惹かれたんじゃないかな」 
    俺「なるほど・・・」 
    息子「で、生き残ったのは良いけど、天獄にとっちゃ道具に過ぎないわけだから、 
       すぐさま別の部屋に1人で閉じ込められて、餓死だよね。そして防腐処理を 
       施され、即身仏に。この前オヤジの言ってたリョウメンスクナの完成、ってわけ」 
    俺「リョウメンスクナって何ですか?」 

    >>476氏ほど詳しい説明は無かったが、神話の時代に近いほどの大昔に、 
       リョウメンスクナと言う、2つの顔、4本の手をもつ怪物がいた、と言う 
       伝説にちなんで、例のシャム双生児をそう呼ぶ事にしたと、言っていた。 

    俺「そうですか・・・」 
    息子「そのリョウメンスクナをね、天獄は教団の本尊にしたわけよ。呪仏(じゅぶつ) 
       としてね。他人を呪い殺せる、下手したらもっと大勢の人を呪い殺せるかも 
       知れない、とんでもない呪仏を作った、と少なくとも天獄は信じてたわけ」 
    俺「その呪いの対象は?」 
    息子「・・・国家だとオヤジは言ってた」 
    俺「日本そのものですか?頭イカレてるじゃないですか、その天獄って」 
    息子「イカレたんだろうねぇ。でもね、呪いの効力はそれだけじゃないんだ。 
       リョウメンスクナの腹の中に、ある物を入れてね・・・」 
    俺「何です?」 
    息子「古代人の骨だよ。大和朝廷とかに滅ぼされた(まつろわぬ民)、いわゆる 
       朝廷からみた反逆者だね。逆賊。その古代人の骨の粉末を腹に入れて・・・」 
    俺「そんなものどこで手に入れて・・・!?」 
    息子「君もTVや新聞とかで見たことあるだろう?古代の遺跡や墓が発掘された時、 
       発掘作業する人たちがいるじゃない。当時はその辺の警備とか甘かったらしい 
       からね・・・そういう所から主に盗ってきたらしいよ」 
    511 :その4:2005/09/22(木) 00:13:22 ID:mdYgh3LB0
    俺「にわかには信じがたい話ですよね・・・」 
    息子「だろう?私もそう思ったよ。でもね、大正時代に主に起こった災害ね、 
       これだけあるんだよ」 

     1914(大正3)年:桜島の大噴火(負傷者 9600人) 
     1914(大正3)年:秋田の大地震(死者 94人) 
     1914(大正3)年:方城炭鉱の爆発(死者 687人) 
     1916(大正5)年:函館の大火事 
     1917(大正6)年:東日本の大水害(死者 1300人) 
     1917(大正6)年:桐野炭鉱の爆発(死者 361人) 
     1922(大正11)年:親不知のナダレで列車事故(死者 130人) 

    そして、1923年(大正12年)9月1日、関東大震災、死者・行方不明14万2千8百名 

    俺「それが何か?」 
    息子「全てリョウメンスクナが移動した地域だそうだ」 
    俺「そんな!教団支部ってそんな各地にあったんですか?と言うか、偶然でしょう(流石に笑った)」 
    息子「俺も馬鹿な話だと思うよ。で、大正時代の最悪最大の災害、関東大震災の日ね。 
        この日、地震が起こる直前に天獄が死んでる」 
    俺「死んだ?」 
    息子「自殺、と聞いたけどね。純粋な日本人ではなかった、と言う噂もあるらしいが・・・」 
    俺「どうやって死んだんですか?」 
    息子「日本刀で喉かっ斬ってね。リョウメンスクナの前で。それで血文字で遺書があって・・・」 
    俺「なんて書いてあったんですか??」 

    日      本      滅      ブ    ベ    シ 

    515 :その5:2005/09/22(木) 00:27:58 ID:mdYgh3LB0
    俺「・・・それが、関東大震災が起こる直前なんですよね?」 
    息子「そうだね」 
    俺「・・・偶然ですよね?」 
    息子「・・・偶然だろうね」 
    俺「その時、リョウメンスクナと天獄はどこに・・・??」 
    息子「震源に近い相模湾沿岸の近辺だったそうだ」 
    俺「・・・その後、どういう経由でリョウメンスクナは岩手のあのお寺に?」 
    息子「そればっかりはオヤジは話してくれなかった」 
    俺「あの時、住職さんに(なぜ京都のお寺に輸送しなかったんだ!)みたいな事を 
      言われてましたが、あれは??」 
    息子「あっ、聞いてたの・・・もう30年前くらいだけどね、私もオヤジの後継いで坊主に 
       なる予定だったんだよ。その時に俺の怠慢というか手違いでね・・・その後、 
       あの寺もずっと放置されてたし・・・話せることはこれくらいだね」 
    俺「そうですか・・・今リョウメンスクナはどこに??」 
    息子「それは知らない。と言うか、ここ数日オヤジと連絡がつかないんだ・・・ 
       アレを持って帰って以来、妙な車に後つけられたりしたらしくてね」 
    俺「そうですか・・・でも全部は話さないと言われたんですけど、なぜここまで 
      詳しく教えてくれたんですか?」 
    息子「オヤジがあの時言ったろう?可哀想だけど君たち長生きできないよ、ってね」 
    俺「・・・」 
    息子「じゃあこの辺で。もう電話しないでね」 
    俺「・・・ありがとうございました」 


    以上が電話で話した、かいつまんだ内容です・・・はっきり言って全ては信じてません。 
    何か気分悪くなったので今日は落ちますね。連投・長文スマソ。 

    引用元:https://hobby7.5ch.net/test/read.cgi/occult/1126696345/

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    8 :地下のまる穴1:2011/12/16(金) 10:06:43.33 ID:s+XHJkPg0
    ホラーテラーの名作でも貼っていくかな 
    http://horror-terror.com/c-real/entry_6152.html 

    これは17年前の高校3年の冬の出来事です。 
    あまりに多くの記憶が失われている中で、 
    この17年間、わずかに残った記憶を頼りに残し続けてきた 
    メモを読みながら書いたので、 
    細かい部分や会話などは勝手に補足や修正をしていますが、 
    できるだけ誇張はせずに書いていきます。 

    私の住んでいた故郷は、すごく田舎でした。思い出す限り、 
    たんぼや山に囲まれた地域で、遊ぶ場所といえば、 
    原つきバイクを1時間ほど飛ばして市街に出てカラオケくらいしか 
    なかったように思います。 

    そんな片田舎の地域に1991年突如、某新興宗教施設が建設されたのです。 

    建設予定計画の段階で地元住民の猛反発が起こり、私の親もたびたび反対集会に 

    出席していたような気がします。市長や県知事に嘆願書を提出したり、 

    地元メディアに訴えかけようとしたらしいのですが、宗教団体側が「ある条件」を 

    提示し、建設が強行されたそうです。条件については地元でも様々な憶測や 
    噂が飛び交いましたが、おそらく過疎化が進む市に多額の寄付金を寄与する事で、 
    自治体が住民の声を見て見ぬふりをした、という説が濃厚でした。 

    宗教施設は私たちが住んでいる地域の端に建てられましたが、 
    その敷地面積は東京ドームに換算すると2~3個ぶん程度の広さだったと思います。 
    過疎化が進む片田舎の土地は安かったのでしょう。 
    高校2年の秋頃に施設が完成し、親や学校の担任からは「あそこには近づくな」 
    「あそこの信者には関わるな」と言われていました。 

    9 :地下のまる穴2:2011/12/16(金) 10:11:28.37 ID:s+XHJkPg0
    私たちはクラスの同級生8人くらいで見に行ったのですが、 
    周りがすべて高い壁で囲われ、正面には巨大な門があり、門の両端の上の部分に、 
    恐ろしい顔をした般若みたいなものが彫られていました。 
    それを見た同級生たちは「やばい!悪魔教じゃ悪魔教じゃ」と楽しそうに 
    騒いでいましたが、そういう経緯から学校ではあの宗教を「悪魔教」や 
    「般若団体」などと、わけのわからないアダ名で呼ぶようになりました。 
    たまにヒマな時などは、同級生ら数人で好奇心と興味と暇潰しに施設周辺を 
    自転車でグルグルしていましたが、不思議な事に信者や関係者を見た事は 
    一度もありませんでした。あまりに人の気配がなく、特に問題も起きなかったので、 
    しだいに皆の関心も薄れていきました。 

    高校3年になり、宗教施設の事は話題にもならなくなっていたのですが、 
    ある日同級生のAが「あそこに肝だめしに行かんか」と言いはじめました。 
    Aが言うには「親から聞いたけど、悪魔教の建物に可愛い女が出入りしとるらしい。 
    毎日店に買い物に来とるらしいで」 
    Aの実家は、地域内で唯一そこそこ大きいスーパーを経営していました。 
    Aの両親は毎日2万円~3万円ぶんも買い物をしていく「悪魔教」に 
    すっかり感謝しているようでした。 
    Aは「俺の親は、あそこの信者はおとなしくて良い人ばかりって言いよったよ。 
    怖くないし、行ってみようや」 
    私やその他の同級生も遊ぶ場所がなく毎日退屈していましたので、 
    「じゃあ行くか!」という事になり、肝だめしが決定しました。 
    メンバーは私とAとBとCとDの同じクラスの5人と、 
    後輩のEとFの全員男の7人になりました。 
    7人もいれば怖くないでしょう。皆も軽い気持ちで行く雰囲気でした。 

    待ち合わせは施設にほど近い、廃郵便局の前になりました。 
    私が到着するとABCとEは来ていたのですが、 
    DとFが30分近く待っても来なかったので、5人で 
    行く事になりました。施設の近くに自転車を停車させ、徒歩で施設の門へ。 
    「うわ~夜中はやっぱ怖いわ」や「懐中電灯をもう一つ持ってくりゃ良かったね」 
    などと話していました。 

    10 :地下のまる穴3:2011/12/16(金) 10:12:22.30 ID:s+XHJkPg0
    巨大な門の前まで来ると門からかなり離れた敷地内の建物の一ヶ所に電気が 
    ついていました。「うわぁ信者まだ起きとんじゃね」「悪魔呼んだりしとんかね(笑)」 
    などと軽口を叩いていましたが、 
    Cが「これ、中に入れんじゃん」と言いました。するとAが 
    「俺が知っとるよ。横を曲がったとこに小さい門があってそっから入れる」 
    と言いました。「A、なんで早く言わんのんや」とか言いながら、 
    壁づたいを歩き、突き当たりを横に曲がり、少し歩くと壁に小さな扉がありました。 


    Aが手で押すと、向こう側に開きました。人ひとりようやく通れる扉を 
    5人で順番に通って中に侵入しました。その後は懐中電灯をつけたり 
    消したりしながら更地の敷地内をグルグルしていました。 
    「なんもないじゃん」「建物に近づいたらさすがにヤバイよの」など小さな声で 
    雑談していたのですが、あまりにも何もなくつまらないので 
    施設に近付いてみる事にしたんです。 

    敷地内は正面の門からは長々とした100メートルくらいの完全な更地で、 
    その先に大きな施設が三棟並んでいました。よく覚えていませんが、 
    とても奇妙な外観をしたデザインの建物でした。 

    施設周辺をコソコソ歩いていると、施設と施設の間に、灯りのついたキレイな 
    公衆トイレの建物がぽつんとあり、トイレがある場所一帯は白いキレイな 
    コンクリートで舗装されていて、ベンチまでありました。 

    Aが「ちょっと休憩しようや」と言い出し、周りの同級生らは「はぁ?見つかったら 
    さすがにヤバイだろ」「さっさと一周して帰ろうや」と言いました。私も 
    「見つかったら警察呼ばれるかもしれんし、卒業まであと少しじゃし、 
    問題起こしたらヤバイ、はよう帰ろうや」と言いました。 


    11 :地下のまる穴4:2011/12/16(金) 10:12:53.43 ID:s+XHJkPg0
    しかしAはベンチに座ると煙草を吸い始めました。「じゃ一服だけして帰るか」 
    という事で、全員でその場に座って煙草を吸いました。 
    するとAが「俺ちょっとトイレ行ってくるわ」とその公衆トイレの中に 
    入っていきました。BやCは「アイツ勝手に入った建物のトイレで 
    よくションベンなんか出せるなぁ」「ウ○コなら悪魔に呪われるんじゃないか」 
    とか冗談を言いながら煙草を吸っていたんですが、しばらくするとAが 
    トイレの中から「お~い。ちょっと来て。面白いもんがあるよ」と 
    小さな声で言いました。 

    ゾロゾロと行ってみるとAは「ほら、ここなんだと思う?」と便所の個室を 
    指さしました。Bが「トイレじゃん」と言うと「ドア開けてみてや」と言い、 
    Bが「なんや」と言いながら扉を開けました。扉を開けてみると、 
    なぜか中には地下に降りる階段がありました。 

    Aは「おかしいじゃろ。便器便器と並んで、ここだけ階段なんよ」と言いました。 

    いよいよ、この状況がおかしな事に気づきました。 
    第一Aの言動がずっと不可解でした。Aが急に肝だめしを提案した事、 
    横の扉の位置を把握していた事、トイレの扉をわざわざ開いた事などです。 

    私はAに「お前まさかココでウ○コするつもりだったん?」と聞きました。 
    Aは「いや、うん、そうじゃ」と曖昧に答えた後「ちょっと降りてみんか?」と 
    皆に聞き始めました。 
    私は当然断りました。 
    「お前おかしな事言うなや。はよ帰ろう。ここでグズグズしよったら見つかるじゃろ」 
    と言うと、「はは~お前怖いんじゃろ?ちょっと降りるだけなのに怖いんじゃろ」 
    と馬鹿にした感じで言い出しました。 

    私はこれはAの挑発だと思いました。下に誘導しようとしているとしか 
    思えなかったのです。Bも「ワシもいかんわ。帰ろうで」と言ってくれたのですが、 
    他の二人は「なんか面白そう。ちょっとだけ降りようか」みたいな感じで 
    Aに同調したのです。 

    12 :地下のまる穴5:2011/12/16(金) 10:13:19.59 ID:s+XHJkPg0
    Aは「お前らは勇気あるの~」とか言いながら、 
    私やBを更に挑発していましたが、Bは「ワシ行かんで。勝手に行けや」と 
    吐き捨てるように言いました。 
    Aは「ならまず3人で降りるわ。お前らはとりあえずココで待っといてや」 
    と言いました。そして3人は下へと降りて行ったのです。 
    私とBの二人はトイレの外には出ず、中で待っていました。 

    トイレの周辺は施設に挟まれた形で、窓も多数あったため、 
    「どこの窓から見つかるか分からない」と思い、トイレ内で待機していました。 

    Bは「おい、Aってなんか変じゃないか?」と聞いてきました。 
    私は「今日のAはおかしい。なんか最初っから俺らをココに連れてきたみたいな 
    感じがする」と答えると、Bも「ワシもそう思いよった」と言いました。 

    その後はBと一緒に今夜の事や見つかってしまった時の対処法などを 
    話していました。5分近く経った頃、「ちょっと遅くないか?!」と 
    私もBもイライラし始めました。 

    Bは「もう二人で帰るか」と言い出したのですが、二つあった懐中電灯のうち 
    二つともAたちが持って降りてしまったので、暗闇の中あの小さな横の扉を 
    発見するのは時間がかかると判断し、しぶしぶ待っていました。 

    すると、遠くのほうから足音が聞こえてきたんです。ザッザッザッという 
    複数の足音が遠くから聞こえてきました。私もBも、一瞬で緊張しました。 
    私たちは小声で「ヤバイ…人がきた。マズイで…」と囁きあいました。 
    場が張りつめた雰囲気に変わりました。足音は遠くからでしたが、 
    どの方角からの足音か分からなかったですし、いま外に出ても私たちは 
    施設内の方向や構造が分からないので、見つかってしまう可能性がありました。 

    13 :地下のまる穴6:2011/12/16(金) 10:20:07.44 ID:s+XHJkPg0
    Bが「ヤバイ…近づいて来とるで…どうする?」とかなり慌てた感じで 
    言っていました。私も内心は心臓がバクバクしながら「コッチに来るとは限らんし、 
    来そうなら隠れよう」と言いました。しかし確実に足音は私たちのいる 
    トイレに近づいてきていました。 

    その時Bがいきなり階段ではない他の大便の個室の扉に手をかけました。 
    しかし開きません。隣の個室もなぜか開きませんでした。 
    Bは「クソッ!閉まっとる。あ~クソッ」と小さな声で叫びました。 

    足音はおそらく15mくらいまで近づいてきています。直感的ですが、私はその時、 
    足音の連中は間違いなくトイレに来ると確信していました。 
    Bもきっと同じ予感がしていたのだと思います。 
    私もBもジッと立ち尽したままでした。 
    Bは「…仕方ないわ。降りよう」と言い出しました。私は「えっマジで…?」と 
    返事をしました。あの得体の知れない階段を降りるのはすごく嫌でしたが 
    トイレ内にはもはや隠れる場所もなく、走り出したところで、 
    暗闇の中でしかも場所がよく分からないので捕まるだろうと思いました。 

    深夜の宗教施設という特殊な状況下で判断力も鈍っていたのかもしれません。 

    足音がもうすぐトイレ付近に差しかかる中、 
    私とBは個室の扉を開き足音を忍ばせながら下への階段を降りました。 
    階段はコンクリート造りの階段で、長い階段なのかと思っていましたが、 
    意外にも10段くらいで下に着きました。真っ暗闇なので何も見えないのですが、 
    前を歩いていたBが、降りた突き当たりの目の前にあったのだろう扉を開きました。 

    14 :地下のまる穴7:2011/12/16(金) 10:22:35.90 ID:s+XHJkPg0
    中には部屋がありました。部屋の天井にはオレンジ色の豆電球がいくつかぶら 
    下がり、部屋全体は淡いオレンジ色に包まれていました。 
    私とBはその部屋に入ると、扉をそっと静かに閉めました。部屋を見渡すと、 
    15畳くらい(よく覚えていません)の何もないコンクリート造りの部屋で、 
    真ん中には大きく円状のものがぶら下がっていました。説明しにくいですが、 
    巨大な鉄製のフラフープみたいなものが縦にぶら下がっている感じです。 

    そのフラフープは部屋の両隅の壁に付くくらい巨大なものでした。 

    私とBはそんなのを気にせずに、扉の前で硬直していましたが、 
    私が「Aたちは?おらんじゃん…」と小さな声で言うと、 
    Bは「わからん、わからん…」とひきつった表情で言っていました。 

    そして、私たちが聞いていた足音が予感通りトイレの中に入ってきたのが 
    分かりました。真上から足音がコンクリートを伝って響いてきました。 
    その足音は3人~4人くらい。私たちはジッと動けないまま、 
    扉の前で立ち尽していました。 

    なにやらブツブツ話し声が聞こえてきましたが、 
    内容まで聞きとれません。話し合うような声に聞こえましたし、 
    それぞれがなにかをブツブツ呟いているようにも聞こえました。 
    Bは下をうつむいたまま、目を閉じていました。どのくらい時間が 
    経ったのか分かりません。私はなにか楽しい事を思い出そうとして、 
    当時流行っていたお笑い番組「爆SHOW☆プレステージ」を必死に 
    思い出していました。いつのまにか、トイレ内のブツブツ呟く声は、 
    3~4人から10人くらいに増えている事に気づきました。 


    15 :地下のまる穴8:2011/12/16(金) 10:24:43.53 ID:s+XHJkPg0
    上にいる連中は私たちがココに隠れている事を知っているのではと思いました。 
    怖くてガタガタ震えてきました。ブツブツブツブツと気味の悪い話し声に 
    気が遠くなりそうでした。突然ブツブツ呟く声が消えると、 
    ガタンッと扉が二つ連続して開く音が聞こえた後、さらにガタンッと音がしました。 
    そのガタンッはトイレの個室を開く音だとすぐに分かり、鳥肌が立ちました。 

    「他の個室には最初から人が入っていたんじゃないか」 

    私と同じようにBがその可能性に気づいたのかどうかは分かりませんが、 
    さっきは鍵が閉まっていたのですから、外から開けたのではなく、 
    個室から誰かが出てきたんだと思ったのです。 

    そして階段を降りる足音が聞こえてきました。限界でした。 
    階段を降りきるまで15秒とかからないでしょう。私はBの腕をギュッと掴みました。 
    階段を降りる足音が中間地点くらいになった時、 
    Bは「うわぁぁぁ~」と情けない悲鳴をあげながら私の手を振り払い、 
    部屋の奥に走り出しました。その時です。Bがあの丸い輪をピョンとジャンプした 
    瞬間、一瞬でBの姿がなくなったのです。私はただただ唖然としました。 

    フラフープ状の丸い輪の向こう側に飛び越えるはずなのに、 
    Bが忽然と姿を消してしまった事に、恐怖よりも放心状態になりました。 
    私は扉から少し離れ、扉とフラフープの間に立っていました。 

    「謝ろう!」と思いました。「すみません。勝手に入ってしまいました。 
    本当にすみません」そう言おうと思いました。 

    扉がゆっくり開きました。開いた扉の隙間から、わざとらしく、 
    ひょいっと顔だけが現れました。 


    16 :地下のまる穴9:2011/12/16(金) 10:28:35.97 ID:s+XHJkPg0
    王冠のようなものをかぶった老人が顔だけ覗かせこちらを見ていました。 
    満面の笑みでした。おじいさんかおばあさんかは分かりませんでしたが、 
    長い白髪に王冠をかぶった、しわくちゃの老人が満面の笑みで私を見ていました。 

    それは見た事もない悪意に満ちた笑顔で、私は一目見て 
    「これはまともな人間ではない」と思いました。 
    話が通じる相手ではないと思ったのです。その老人の無機質な笑顔に一瞬でも 
    見られたくないと思い、 
    「はうひゃっ!」と情けない悲鳴が喉の奥から勝手に出てきて、 
    私もまたBと同じようにフラフープ状の輪に飛びこみました。 
    目を開くと病室にいました。頭がボーッとしていました。 
    腕には注射針が刺さり、私は仰向けに寝ていました。 

    上半身を起きあがらせるのに3分近くかかりました。 
    窓を見ると綺麗な夕焼けでした。 

    部屋には人はおらず、個室の病室でした。 
    何も考えられずただボーッとしていました。 
    どのくらいの時間ボーッとしていたか分かりません。しばらくすると、 
    ガチャとドアが開き看護婦さんが現れました。看護婦さんは、 
    かなり驚いた表情で目を見開くと、そのままどこかに駆け出しました。 

    私はそれでもボーッとしていました。その後は担当医や他の医師たち数人が来て、 
    私に何かを話しかけているようでしたが、 
    私はボーッとしたままだったらしいです。その後時間が経ち意識もだんだんと 
    鮮明になってきました。 

    医師からは「さっき○○君の家族呼んだからね。 
    ○○君は長い時間寝ていたんだよ。でも心配しなくていい。 
    もう大丈夫だよ」と意味不明な事を言われました。 
    起きてからも時間の感覚がよく分からなかったのですが、 
    やがて母らしき人と若い女の子が泣きながら病室に入ってきました。 

    17 :地下のまる穴10:2011/12/16(金) 10:30:14.46 ID:s+XHJkPg0
    それは母ではありませんでした。それに私の名前は○○でもありません。 
    母を名乗る女性は「よかった…よかった」と泣いて喜んでいました。 
    若い女の子は私に「お兄ちゃん、おかえり…」と 
    言いながら泣き崩れてしまいました。しかし私に妹はいません。 
    3つ離れた大学生の兄ならいましたが、妹などいません。 

    私は「誰ですか?誰ですか?」と何度も聞きました。 
    医師は「後遺症でしょうが時間が経てば大丈夫だと…」みたいな事を 
    母らしき女性や妹らしき女の子に励ますように言っていました。 

    「今夜は母さんずっといるからね」と言われました。 
    私は寝たままいろいろ検査を受け、その際医師に 
    「僕は○○でもないし、母も違うし妹もいません」と言いました。 
    しかし医師は「う~ん…記憶にちょっと…う~ん…」と首を傾げていました。 

    「○○君はね、二年近く寝たきりだったんだよ。だから記憶がまだ完全では 
    ないんだと思うよ」と言われました。そう言われても、私はショックな 
    感情すらありませんでした。 
    現実にいま起きている事が飲み込めなかったのでショックを受ける事さえ 
    できなかったのです。医師は言葉を選びながら、 
    私を必死に励ましていました。 
    母らしき人は記憶喪失にショックを受けて号泣していました。 

    私は「トイレに行く」とトイレに行きました。立ち上がる際に足が異常に重く、 
    なかなか立ち上がれずにいると、医師や看護婦や妹らしき人が 
    手伝ってくれました。 


    18 :地下のまる穴11:2011/12/16(金) 10:31:44.59 ID:s+XHJkPg0
    トイレに行くと、初めてあの夜の事を思い出しました。 
    不思議ですが、目覚めてからの数時間一度もあの肝だめしの事は 
    思い出さずにいました。トイレがすごく怖かったのですが、 
    肩をかしてくれた医師や付いてきた母や妹がいたので、中に入りました。 

    用を足したあと、鏡を見て悲鳴をあげました。 
    顔が私ではありませんでした。まったくの別人でした。 
    覚えていないのですが、その時私は激しいパニックを起こしたらしく、 
    大変だったらしいです。 

    その後は一ヶ月近く入院しました。私は両親と名乗る男女や、 
    妹を名乗る女の子や、見舞いに来た自称友達や、 
    自称担任の先生だったという男性らに「僕は○○じゃないし、あなたを知らない」 
    と言い続けました。 

    AやBの事や、自分の過去や記憶を覚えている範囲で話し続けましたが、 
    すべて記憶障害、記憶喪失で片付けられました。Aなど存在しない、 
    Bもいない、そんな人間は存在しないと説得されました。 
    しかし、みんな私にとても優しく接してくれました。 

    医師や周りの話だと、私は学校帰りに自転車のそばで倒れているところを 
    通行人に発見され、そのまま病室に担ぎ込まれたそうです。 

    私に入ってくるこの世界の情報はどれも聞いた事がないものばかりでした。 
    例えば、「ここは神奈川県だよ」と言われた時は、 
    私は神奈川県など知らないし、そんな県はなかったはずでした。 
    通貨単位も円など聞いた事もない。東京など知らない。 
    日本など知らない…という感じです。 


    19 :地下のまる穴12:2011/12/16(金) 10:33:31.15 ID:s+XHJkPg0
    そのつど医師からは「じゃあ、なんだったの?」と聞かれるのですが、 
    どうしても思い出せないのです。Aの名前も思い出せず、 
    「同級生の友達」と何度も説明しましたが周りからは 
    「そんな子はいないよ」と言われました。 
    あの施設に入り、あのフラフープに入った話を医師に何度も必死に 
    説明しましたが、「それは眠っていた時の夢なんだよ」という 
    感じで流され続けました。 

    しかし恐ろしい事に、私自身「自分は記憶喪失なんだ。 
    前の人生や世界は全部寝ていた時の夢だったんだ」と 
    真剣に思い始めていたのです。 

    「記憶喪失な上に、別人格・別世界の記憶が上書きされている」と 
    信じはじめていたのです。 

    どちらにせよ私には別人としての人生を生きていく事しか 
    選択肢はありませんでした。退院後に父や母や妹に連れられ自宅に戻りました。 
    「思い出せない?」と両親から聞かれましたが、 
    それは初めて見る家に初めて見る街並みでした。 
    私はカウンセリングに通いながら、必死にこの新しい人生に順応しようと 
    思いました。 

    私に入ってくる単語や情報には違和感のあるものとないものに分かれました。 
    都道府県名や国名はどれも初めて聞いたものばかりですし、 
    昔の歴史や歴史上の人物も初耳でしたが、大部分の日常単語については、 
    違和感はありませんでした。テレビや新聞、椅子やリモコンなどの 
    日常会話はまったく違和感ありません。 


    20 :地下のまる穴13:2011/12/16(金) 10:35:38.36 ID:s+XHJkPg0
    最初は家族に馴染めず、敬語で話したり、パンツや下着を洗われるのが 
    嫌で自分で洗濯などしていましたが、不思議な事に、 
    本物の家族なんだと思えるようになり、前の人生は前世か夢だと 
    思うようになりました。 

    そう思えてくると、前の人生での記憶が少しずつ失われていきました。 
    唯一鮮明に覚えていた両親の顔や兄の顔や友人の顔や田舎の街並みも 
    思い出すのに時間がかかるようになりました。 

    しかし、あの最後の一夜、宗教施設での記憶だけは 
    ハッキリ覚えていました。 
    特にあの満面の笑みの老人の顔は忘れられませんでした。 

    新しい生活にも慣れ、カウンセリングの回数も減り、 
    半年後には高校にも復帰しました。二十歳で高校3年生からやり直したのですが、 
    友人もでき、楽しさを感じていました。テレビ番組も観た事がない 
    番組ばかりでとても新鮮でした。 
    神奈川県の都市でしたので都会の生活もすごく楽しかったのを覚えています。 

    しかし、高校復帰から4ヶ月ほど経った後に意外な形で、 
    あの世界とこの世界とをつなぐ共通点が現れました。ちょうど夏休みに、 
    私は宿題の課題のため、本屋で本を探していました。 

    すると並べてある本の中で「○○○○」という文字が目に入りました。 
    宗教関連本でした。「○○○○」というのは、紛れもなく、 
    私が最後の夜に侵入した新興宗教の名前でした。 

    私は驚愕しました。そして本を手にとり、必死に読みました。 
    「○○○○」はこの世界では、かなり巨大な宗教団体というのが分かりました。 


    21 :地下のまる穴14:2011/12/16(金) 10:36:31.14 ID:s+XHJkPg0
    私のいた世界では名前も聞いた事がない無名の新興宗教団体だったのに、 
    こちらでは世界的な宗教団体だったのです。それから私はその宗教の関連本を 
    何冊も買い読みあさりましたが、それは意味がない行為でした。 

    読んだからといって何も変わりません。戻れるわけでもなければ、 
    誰かに私の過去を証明できるような事実でもありません。 

    周りに話したところで「それは意識がなかった時に○○○○が夢に出てきただけだ」 
    と言われるだろうと思ったからです。 

    それに、親切にしてくれる新しい家族や友人たちに迷惑や 
    心配をかけたくなかったのです。せっかく高校にも復学し、 
    過去の話をしなくなった私に対して安心感を感じてくれている周囲に対しての 
    申し訳なさ、またカウンセリングに通う苦痛を考え、 
    私は見て見ぬふりをする事にし普通に人生を送ってきました。 
    17年が経ち、私も今は都内で働くごく普通のサラリーマンです。 

    ではなぜ今さらこんな事を書き記そうと思ったかと言うと、 
    先月、私の自宅に封書の手紙が届きました。匿名で書かれた手紙の内容は 

    「突然で申し訳ありません。私はあなたをよく知っています。 
    あなたも私をよく知っているはずです。あなたを見つけるのに 
    とても長い時間と手間がかかりました。あなたは○○という名前ですが、 
    覚えていますか?また必ず手紙を送ります。この手紙の内容は誰にも 
    言わないでください。あなたの婚約者にも。よろしくお願いします」 

    という内容でした。○○○と呼ばれても、私にはもはや全くピンときませんが、 
    以前そんな名前だったような気もします。 
    手紙が送られてきた事に対しては不思議と恐怖も期待もなく、 
    どちらかというと人ごとのように感じました。そして、その手紙の 
    相手は先週二通目を送ってきました。 


    22 :地下のまる穴15:2011/12/16(金) 10:37:07.93 ID:s+XHJkPg0
    要約すると「あなたが知っている私の名前は○○です。 
    あなたは覚えていませんよね?どうやらここにはあなたと 
    私しか来ていないようです。」と書かれ 
    「今月25日の19時に○○駅前の○○にいるので、必ず来てください。 
    あなたに早急に伝えなければならない事があります。必ず一人で来てください」 
    と書かれていました。 

    私には○○の名前が誰なのか一切覚えていませんが会いに行くつもりです。 
    行かなければならない気がしています。 
    誰がそこに立っていたとしても思い出せないと思いますが、 
    あの夜のメンバーなら話せば誰なのか分かります。 
    できればBであってほしいです。 

    なにが起こるか分からないので、こういう形で書き残そうと思いました。 
    同じような文面を婚約者と唯一の身内になった妹には残しておこうと思います。 
    長々と読んで頂いてありがとうございました。 

    引用元:https://toro.5ch.net/test/read.cgi/occult/1323497636/

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    59 :756(1/5):03/03/29 19:18
    これは小さい頃、秋田にある祖母の実家に帰省した時の事である。 
    年に一度のお盆にしか訪れる事のない祖母の家に着いた僕は、早速大はしゃぎで兄と外に 
    遊びに行った。都会とは違い、空気が断然うまい。僕は、爽やかな風を浴びながら、兄と 
    田んぼの周りを駆け回った。 
    そして、日が登りきり、真昼に差し掛かった頃、ピタリと風か止んだ。と思ったら、気持 
    ち悪いぐらいの生緩い風が吹いてきた。僕は、『ただでさえ暑いのに、何でこんな暖かい 
    風が吹いてくるんだよ!』と、さっきの爽快感を奪われた事で少し機嫌悪そうに言い放った。 
    すると、兄は、さっきから別な方向を見ている。その方向には案山子(かかし)が 
    ある。『あの案山子がどうしたの?』と兄に聞くと、兄は『いや、その向こうだ』と 
    言って、ますます目を凝らして見ている。僕も気になり、田んぼのずっと向こうをジーッと 
    見た。すると、確かに見える。何だ…あれは。 

    761 :756(2/5):03/03/29 19:19
    遠くからだからよく分からないが、人ぐらいの大きさの白い物体が、くねくねと動いている。 
    しかも周りには田んぼがあるだけ。近くに人がいるわけでもない。僕は一瞬奇妙に感じたが、 
    ひとまずこう解釈した。 
    『あれ、新種の案山子(かかし)じゃない?きっと!今まで動く案山子なんか無かった 
    から、農家の人か誰かが考えたんだ!多分さっきから吹いてる風で動いてるんだよ!』 
    兄は、僕のズバリ的確な解釈に納得した表情だったが、その表情は一瞬で消えた。 
    風がピタリと止んだのだ。しかし例の白い物体は相変わらずくねくねと動いている。兄は 
    『おい…まだ動いてるぞ…あれは一体何なんだ?』と驚いた口調で言い、気になって 
    しょうがなかったのか、兄は家に戻り、双眼鏡を持って再び現場にきた。兄は、 
    少々ワクワクした様子で、『最初俺が見てみるから、お前は少し待ってろよー!』と言い、 
    はりきって双眼鏡を覗いた。 

    762 :756(3/5):03/03/29 19:20
    すると、急に兄の顔に変化が生じた。みるみる真っ青になっていき、冷や汗をだくだく 
    流して、ついには持ってる双眼鏡を落とした。僕は、兄の変貌ぶりを恐れながらも、 
    兄に聞いてみた。『何だったの?』 
    兄はゆっくり答えた。 
    『わカらナいホうガいイ……』 
    すでに兄の声では無かった。兄はそのままヒタヒタと家に戻っていった。 
    僕は、すぐさま兄を真っ青にしたあの白い物体を見てやろうと、落ちてる双眼鏡を 
    取ろうとしたが、兄の言葉を聞いたせいか、見る勇気が無い。しかし気になる。 
    遠くから見たら、ただ白い物体が奇妙にくねくねと動いているだけだ。少し奇妙だが、 
    それ以上の恐怖感は起こらない。しかし、兄は…。よし、見るしかない。どんな物が兄に 
    恐怖を与えたのか、自分の目で確かめてやる!僕は、落ちてる双眼鏡を取って覗こうとした。 
    その時、祖父がすごいあせった様子でこっちに走ってきた。僕が『どうしたの?』と尋ねる前に、 
    すごい勢いで祖父が、『あの白い物体を見てはならん!見たのか!お前、その双眼鏡で見たのか!』 
    と迫ってきた。僕は『いや…まだ…』と少しキョドった感じで答えたら、祖父は『よかった…』 
    と言い、安心した様子でその場に泣き崩れた。僕は、わけの分からないまま、家に戻された。 

    763 :756(4/5):03/03/29 19:22
    帰ると、みんな泣いている。僕の事で?いや、違う。よく見ると、兄だけ狂ったように 
    笑いながら、まるであの白い物体のようにくねくね、くねくねと乱舞している。僕は、 
    その兄の姿に、あの白い物体よりもすごい恐怖感を覚えた。 
    そして家に帰る日、祖母がこう言った。『兄はここに置いといた方が暮らしやすいだろう。 
    あっちだと、狭いし、世間の事を考えたら数日も持たん…うちに置いといて、何年か 
    経ってから、田んぼに放してやるのが一番だ…。』 
    僕はその言葉を聞き、大声で泣き叫んだ。以前の兄の姿は、もう、無い。また来年実家に 
    行った時に会ったとしても、それはもう兄ではない。何でこんな事に…ついこの前まで仲良く 
    遊んでたのに、何で…。僕は、必死に涙を拭い、車に乗って、実家を離れた。 

    764 :756(5/5):03/03/29 19:23
    祖父たちが手を振ってる中で、変わり果てた兄が、一瞬、僕に手を振ったように見えた。 
    僕は、遠ざかってゆく中、兄の表情を見ようと、双眼鏡で覗いたら、兄は、確かに泣いていた。 
    表情は笑っていたが、今まで兄が一度も見せなかったような、最初で最後の悲しい笑顔だった。 
    そして、すぐ曲がり角を曲がったときにもう兄の姿は見えなくなったが、僕は涙を流しながら 
    ずっと双眼鏡を覗き続けた。『いつか…元に戻るよね…』そう思って、兄の元の姿を 
    懐かしみながら、緑が一面に広がる田んぼを見晴らしていた。そして、兄との思い出を 
    回想しながら、ただ双眼鏡を覗いていた。 
    …その時だった。 
    見てはいけないと分かっている物を、間近で見てしまったのだ。 

    『くねくね』 

    引用元:https://hobby2.5ch.net/test/read.cgi/occult/1047906776/

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    167 :1/3:2007/02/05(月) 22:47:31 ID:uuWi3n130
    一週間前の話。 
    娘を連れて、ドライブに行った。 
    なんてことない山道を進んでいって、途中のドライブインで飯食って。 
    で、娘を脅かそうと思って舗装されてない脇道に入り込んだ。 

    娘の制止が逆に面白くって、どんどん進んでいったんだ。 
    そしたら、急にエンジンが停まってしまった。 

    山奥だからケータイもつながらないし、車の知識もないから 
    娘と途方に暮れてしまった。飯食ったドライブインも歩いたら何時間かかるか。 
    で、しょうがないからその日は車中泊して、次の日の朝から歩いてドライブイン 
    行くことにしたんだ。 

    車内で寒さをしのいでるうち、夜になった。 
    夜の山って何も音がしないのな。たまに風が吹いて木がザワザワ言うぐらいで。 

    で、どんどん時間が過ぎてって、娘は助手席で寝てしまった。 
    俺も寝るか、と思って目を閉じてたら、何か聞こえてきた。 

    今思い出しても気味悪い、声だか音だかわからん感じで 

    「テン(ケン?)・・・ソウ・・・メツ・・・」って何度も繰り返してるんだ。 

    最初は聞き間違いだと思い込もうとして目を閉じたままにしてたんだけど、 
    音がどんどん近づいてきてる気がして、たまらなくなって目を開けたんだ。 



    168 :2/3:2007/02/05(月) 22:48:10 ID:uuWi3n130
    そしたら、白いのっぺりした何かが、めちゃくちゃな動きをしながら車に近づいて 
    くるのが見えた。形は「ウルトラマン」のジャミラみたいな、頭がないシルエットで 
    足は一本に見えた。そいつが、例えるなら「ケンケンしながら両手をめちゃくちゃに 
    振り回して身体全体をぶれさせながら」向かってくる。 

    めちゃくちゃ怖くて、叫びそうになったけど、なぜかそのときは 
    「隣で寝てる娘がおきないように」って変なとこに気が回って、叫ぶことも逃げることも 
    できないでいた。 

    そいつはどんどん車に近づいてきたんだけど、どうも車の脇を通り過ぎていくようだった。 
    通り過ぎる間も、「テン・・・ソウ・・・メツ・・・」って音がずっと聞こえてた。 

    音が遠ざかっていって、後ろを振り返ってもそいつの姿が見えなかったから、ほっとして 
    娘の方を向き直ったら、そいつが助手席の窓の外にいた。 
    近くでみたら、頭がないと思ってたのに胸のあたりに顔がついてる。思い出したくもない 
    恐ろしい顔でニタニタ笑ってる。 

    俺は怖いを通り越して、娘に近づかれたって怒りが沸いてきて、「この野郎!!」って 
    叫んだんだ。 
    叫んだとたん、そいつは消えて、娘が跳ね起きた。 

    俺の怒鳴り声にびっくりして起きたのかと思って娘にあやまろうと思ったら、娘が 
    「はいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれたはいれた」 
    ってぶつぶつ言ってる。 

    169 :3/3:2007/02/05(月) 22:48:49 ID:uuWi3n130
    やばいと思って、何とかこの場を離れようとエンジンをダメ元でかけてみた。そしたら 
    かかった。急いで来た道を戻っていった。娘はとなりでまだつぶやいている。 

    早く人がいるとこに行きたくて、車を飛ばした。ようやく街の明かりが見えてきて、 
    ちょっと安心したが、娘のつぶやきが「はいれたはいれた」から「テン・・ソウ・・メツ・・」に 
    いつの間にか変わってて、顔も娘の顔じゃないみたいになってた。 

    家に帰るにも娘がこんな状態じゃ、って思って、目についた寺に駆け込んだ。 
    夜中だったが、寺の隣の住職が住んでるとこ?には明かりがついてて、娘を引きずりながら 
    チャイムを押した。 

    住職らしき人が出てきて娘を見るなり、俺に向かって「何をやった!」って言ってきた。 
    山に入って、変な奴を見たことを言うと、残念そうな顔をして、気休めにしかならないだろうが、 
    と言いながらお経をあげて娘の肩と背中をバンバン叩き出した。 

    住職が泊まってけというので、娘が心配だったこともあって、泊めてもらうことにした。 
    娘は「ヤマノケ」(住職はそう呼んでた)に憑かれたらしく、49日経ってもこの状態が続くなら 
    一生このまま、正気に戻ることはないらしい。住職はそうならないように、娘を預かって、 
    何とかヤマノケを追い出す努力はしてみると言ってくれた。妻にも俺と住職から電話して、 
    なんとか信じてもらった。住職が言うには、あのまま家に帰っていたら、妻にもヤマノケが 
    憑いてしまっただろうと。ヤマノケは女に憑くらしく、完全にヤマノケを抜くまでは、妻も 
    娘に会えないらしい。 

    一週間たったが、娘はまだ住職のとこにいる。毎日様子を見に行ってるが、もう娘じゃないみたいだ。 
    ニタニタ笑って、なんともいえない目つきで俺を見てくる。 
    早くもとの娘に戻って欲しい。 

    遊び半分で山には行くな。 

    引用元:https://hobby9.5ch.net/test/read.cgi/occult/1170418958/

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    23 :パンドラ[禁后]1:2011/12/16(金) 17:09:29.75 ID:s+XHJkPg0
    パンドラ[禁后] 
    http://horror-terror.com/c-real/entry_2412.html 
    私の故郷に伝わっていた「禁后」というものにまつわる話です。 
    どう読むのかは最後までわかりませんでしたが、私たちの間では「パンドラ」と呼ばれていました。 

    私が生まれ育った町は静かでのどかな田舎町でした。 
    目立った遊び場などもない寂れた町だったのですが、一つだけとても目を引くものがありました。 
    町の外れ、たんぼが延々と続く道にぽつんと建っている一軒の空き家です。 
    長らく誰も住んでいなかったようでかなりボロく、古くさい田舎町の中でも一際古さを感じさせるような家でした。 
    それだけなら単なる古い空き家…で終わりなのですが、目を引く理由がありました。 
    一つは両親など町の大人達の過剰な反応。 
    その空き家の話をしようとするだけで厳しく叱られ、時にはひっぱたかれてまで怒られることもあったぐらいです。 
    どの家の子供も同じで、私もそうでした。 
    もう一つは、その空き家にはなぜか玄関が無かったということ。 
    窓やガラス戸はあったのですが、出入口となる玄関が無かったのです。 
    以前に誰かが住んでいたとしたら、どうやって出入りしていたのか? 
    わざわざ窓やガラス戸から出入りしてたのか? 
    そういった謎めいた要素が興味をそそり、いつからか勝手に付けられた「パンドラ」という呼び名も相まって、当時の子供達の一番の話題になっていました。 
    (この時点では「禁后」というものについてまだ何も知りません。) 
    私を含め大半の子は何があるのか調べてやる!と探索を試みようとしていましたが、普段その話をしただけでも親達があんなに怒るというのが身に染みていたため、なかなか実践できずにいました。 
    場所自体は子供だけでも難なく行けるし、人目もありません。 
    たぶん、みんな一度は空き家の目の前まで来てみたことがあったと思います。 
    しばらくはそれで雰囲気を楽しみ、何事もなく過ごしていました。 

    私が中学にあがってから何ヵ月か経った頃、ある男子がパンドラの話に興味を持ち、ぜひ見てみたいと言いだしました。 
    名前はAとします。 
    A君の家はお母さんがもともとこの町の出身で他県に嫁いでいったそうですが、離婚を機に実家であるお祖母ちゃんの家に戻ってきたとのこと。 
    A君自身はこの町は初めてなので、パンドラの話も全く知らなかったようです。 

    24 :パンドラ[禁后]2:2011/12/16(金) 17:10:35.26 ID:s+XHJkPg0
    その当時私と仲の良かったB君・C君・D子の内、B君とC君が彼と親しかったので自然と私達の仲間内に加わっていました。 
    五人で集まってたわいのない会話をしている時、私達が当たり前のようにパンドラという言葉を口にするので、気になったA君がそれに食い付いたのでした。 
    「うちの母ちゃんとばあちゃんもここの生まれだけど、その話聞いたらオレも怒られんのかな?」 
    「怒られるなんてもんじゃねえぜ?うちの父ちゃん母ちゃんなんか本気で殴ってくるんだぞ!」 
    「うちも。意味わかんないよね」 
    A君にパンドラの説明をしながら、みんな親への文句を言い始めます。 
    ひととおり説明し終えると、一番の疑問である「空き家に何があるのか」という話題になりました。 
    「そこに何があるかってのは誰も知らないの?」 
    「知らない。入ったことないし聞いたら怒られるし。知ってんのは親達だけなんじゃないか?」 
    「だったらさ、何を隠してるのかオレたちで突き止めてやろうぜ!」 
    Aは意気揚揚と言いました。 
    親に怒られるのが嫌だった私と他の三人は最初こそ渋っていましたが、Aのノリにつられたのと、今までそうしたくともできなかったうっぷんを晴らせるということで、結局みんな同意します。 
    その後の話し合いで、いつも遊ぶ時によくついてくるDの妹も行きたいという事になり、六人で日曜の昼間に作戦決行となりました。 

    当日、わくわくした面持ちで空き家の前に集合、なぜか各自リュックサックを背負ってスナック菓子などを持ち寄り、みんな浮かれまくっていたのを覚えています。 
    前述のとおり、問題の空き家はたんぼに囲まれた場所にぽつんと建っていて、玄関がありません。 
    二階建の家ですが窓まで昇れそうになかったので、中に入るには一階のガラス戸を割って入るしかありませんでした。 
    「ガラスの弁償ぐらいなら大した事ないって」 
    そう言ってA君は思いっきりガラスを割ってしまい、中に入っていきました。 
    何もなかったとしてもこれで確実に怒られるな…と思いながら、みんなも後に続きます。 
    そこは居間でした。 


    25 :パンドラ[禁后]3:2011/12/16(金) 17:11:58.49 ID:s+XHJkPg0
    左側に台所、正面の廊下に出て左には浴室と突き当たりにトイレ、右には二階への階段と、本来玄関であろうスペース。 
    昼間ということもあり明るかったですが、玄関が無いせいか廊下のあたりは薄暗く見えました。 
    古ぼけた外観に反して中は予想より綺麗…というより何もありません。 
    家具など物は一切なく、人が住んでいたような跡は何もない。 
    居間も台所もかなり広めではあったもののごく普通。 

    「何もないじゃん」 
    「普通だな?何かしら物が残ってるんだと思ってたのに。」 
    何もない居間と台所をあれこれ見ながら、男三人はつまらなそうに持ってきたお菓子をボリボリ食べ始めました。 
    「てことは、秘密は二階かな」 
    私とD子はD妹の手を取りながら二階に向かおうと廊下に出ます。 

    しかし、階段は…と廊下に出た瞬間、私とD子は心臓が止まりそうになりました。 
    左にのびた廊下には途中で浴室があり突き当たりがトイレなのですが、その間くらいの位置に鏡台が置かれ、真前につっぱり棒のようなものが立てられていました。 
    そして、その棒に髪がかけられていたのです。 
    どう表現していいかわからないのですが、カツラのように髪型として形を成したものというか、ロングヘアの女性の後ろ髪がそのままそこにあるという感じです。(伝わりにくかったらごめんなさい) 
    位置的にも、平均的な身長なら大体その辺に頭がくるだろうというような位置で棒の高さが調節してあり、まるで「女が鏡台の前で座ってる」のを再現したみたいな光景。 
    一気に鳥肌が立ち、「何何!?何なのこれ!?」と軽くパニックの私とD子。 
    何だ何だ?と廊下に出てきた男三人も意味不明な光景に唖然。 
    D妹だけが、あれなぁに?ときょとんとしていました。 

    「なんだよあれ?本物の髪の毛か?」 
    「わかんない。触ってみるか?」 
    A君とB君はそんな事を言いましたが、C君と私達は必死で止めました。 
    「やばいからやめろって!気持ち悪いし絶対何かあるだろ!」 
    「そうだよ、やめなよ!」 
    どう考えても異様としか思えないその光景に恐怖を感じ、ひとまずみんな居間に引っ込みます。 

    26 :パンドラ[禁后]4:2011/12/16(金) 17:12:36.35 ID:s+XHJkPg0
    居間からは見えませんが、廊下の方に視線をやるだけでも嫌でした。 
    「どうする…?廊下通んないと二階行けないぞ」 
    「あたしやだ。あんなの気持ち悪い」 
    「オレもなんかやばい気がする」 

    C君と私とD子の三人はあまりに予想外のものを見てしまい、完全に探索意欲を失っていました。 
    「あれ見ないように行けばだいじょぶだって。二階で何か出てきたって階段降りてすぐそこが出口だぜ?しかもまだ昼間だぞ?」 
    AB両人はどうしても二階を見たいらしく、引け腰の私達三人を急かします。 
    「そんな事言ったって…」 
    私達が顔を見合わせどうしようかと思った時、はっと気付きました。 
    「あれ?D子、〇〇ちゃんは?」 
    「えっ?」 
    全員気が付きました。 

    D妹がいないのです。 
    私達は唯一の出入口であるガラス戸の前にいたので、外に出たという事はありえません。 
    広めといえど居間と台所は一目で見渡せます。 
    その場にいるはずのD妹がいないのです。 
    「〇〇!?どこ!?返事しなさい!!」 
    D子が必死に声を出しますが返事はありません。 
    「おい、もしかして上に行ったんじゃ…」 
    その一言に全員が廊下を見据えました。 
    「やだ!なんで!?何やってんのあの子!?」 
    D子が涙目になりながら叫びます。 
    「落ち着けよ!とにかく二階に行くぞ!」 
    さすがに怖いなどと言ってる場合でもなく、すぐに廊下に出て階段を駆け上がっていきました。 
    「おーい、〇〇ちゃん?」 
    「〇〇!いい加減にしてよ!出てきなさい!」 

    みなD妹へ呼び掛けながら階段を進みますが、返事はありません。 
    階段を上り終えると、部屋が二つありました。 
    どちらもドアは閉まっています。 

    27 :パンドラ[禁后]5:2011/12/16(金) 17:13:37.38 ID:s+XHJkPg0
    まずすぐ正面のドアを開けました。 
    その部屋は外から見たときに窓があった部屋です。 
    中にはやはり何もなく、D妹の姿もありません。 
    「あっちだな」 
    私達はもう一方のドアに近付き、ゆっくりとドアを開けました。 
    D妹はいました。 
    ただ、私達は言葉も出せずその場で固まりました。 
    その部屋の中央には、下にあるのと全く同じものがあったのです。 
    鏡台とその真前に立てられた棒、そしてそれにかかった長い後ろ髪。 
    異様な恐怖に包まれ、全員茫然と立ち尽くしたまま動けませんでした。 
    「ねえちゃん、これなぁに?」 
    不意にD妹が言い、次の瞬間とんでもない行動をとりました。 
    彼女は鏡台に近付き、三つある引き出しの内、一番上の引き出しを開けたのです。 

    「これなぁに?」 
    D妹がその引き出しから取り出して私達に見せたもの… 
    それは筆のようなもので「禁后」と書かれた半紙でした。 
    意味がわからずD妹を見つめるしかない私達。 
    この時、どうしてすぐに動けなかったのか、今でもわかりません。 
    D妹は構わずその半紙をしまって引き出しを閉め、今度は二段目の引き出しから中のものを取り出しました。 
    全く同じもの、「禁后」と書かれた半紙です。 
    もう何が何だかわからず、私はがたがたと震えるしか出来ませんでしたが、D子が我に返りすぐさま妹に駆け寄りました。 
    D子ももう半泣きになっています。 
    「何やってんのあんたは!」 
    妹を厳しく怒鳴りつけ、半紙を取り上げると引き出しを開け、しまおうとしました。 

    この時、D妹が半紙を出した後すぐに二段目の引き出しを閉めてしまっていたのが問題でした。 
    慌てていたのかD子は二段目ではなく三段目、一番下の引き出しを開けたのです。 
    ガラッと引き出しを開けたとたん、D子は中を見つめたまま動かなくなりました。 
    黙ってじっと中を見つめたまま、微動だにしません。 
    「ど、どうした!?何だよ!?」 
    ここでようやく私達は動けるようになり、二人に駆け寄ろうとした瞬間、ガンッ!!と大きな音をたてD子が引き出しを閉めました。 

    28 :パンドラ[禁后]6:2011/12/16(金) 17:14:23.75 ID:s+XHJkPg0
    そして肩より長いくらいの自分の髪を口元に運び、むしゃむしゃとしゃぶりだしたのです。 
    「お、おい?どうしたんだよ!?」 
    「D子?しっかりして!」 
    みんなが声をかけても反応が無い。 
    ただひたすら、自分の髪をしゃぶり続けている。 

    その行動に恐怖を感じたのかD妹も泣きだし、ほんとうに緊迫した状況でした。 
    「おい!どうなってんだよ!?」 
    「知らねえよ!何なんだよこれ!?」 
    「とにかく外に出てうちに帰るぞ!ここにいたくねえ!」 
    D子を三人が抱え、私はD妹の手を握り急いでその家から出ました。 
    その間もD子はずっと髪をびちゃびちゃとしゃぶっていましたが、どうしていいかわからず、とにかく大人のところへ行かなきゃ!という気持ちでした。 
    その空き家から一番近かった私の家に駆け込み、大声で母を呼びました。 

    泣きじゃくる私とD妹、汗びっしょりで茫然とする男三人、そして奇行を続けるD子。 
    どう説明したらいいのかと頭がぐるぐるしていたところで、声を聞いた母が何事かと現われました。 
    「お母さぁん!」 
    泣きながらなんとか事情を説明しようとしたところで母は私と男三人を突然ビンタで殴り、怒鳴りつけました。 
    「あんた達、あそこへ行ったね!?あの空き家へ行ったんだね!?」 
    普段見たこともない形相に私達は必死に首を縦に振るしかなく、うまく言葉を発せませんでした。 
    「あんた達は奥で待ってなさい。すぐみんなのご両親達に連絡するから。」 
    そう言うと母はD子を抱き抱え、二階へ連れていきました。 

    私達は言われた通り、私の家の居間でただぼーっと座り込み、何も考えられませんでした。 
    それから一時間ほどはそのままだっと思います。 
    みんなの親たちが集まってくるまで、母もD子も二階から降りてきませんでした。 
    親達が集まった頃にようやく母だけが居間に来て、ただ一言、「この子達があの家に行ってしまった」と言いました。 
    親達がざわざわとしだし、みんなが動揺したり取り乱したりしていました。 
    「お前ら!何を見た!?あそこで何を見たんだ!?」 
    それぞれの親達が一斉に我が子に向かって放つ言葉に、私達は頭が真っ白で応えられませんでしたが、何とかA君とB君が懸命に事情を説明しました。 

    29 :パンドラ[禁后]7:2011/12/16(金) 17:16:15.80 ID:s+XHJkPg0
    「見たのは鏡台と変な髪の毛みたいな…あとガラス割っちゃって…」 
    「他には!?見たのはそれだけか!?」 
    「あとは…何かよくわかんない言葉が書いてある紙…」 
    その一言で急に場が静まり返りました。 
    と同時に二階からものすごい悲鳴。 

    私の母が慌てて二階に上がり数分後、母に抱えられて降りてきたのはD子のお母さんでした。 
    まともに見れなかったぐらい涙でくしゃくしゃでした。 
    「見たの…?D子は引き出しの中を見たの!?」 
    D子のお母さんが私達に詰め寄りそう問い掛けます。 
    「あんた達、鏡台の引き出しを開けて中にあるものを見たか?」 
    「二階の鏡台の三段目の引き出しだ。どうなんだ?」 
    他の親達も問い詰めてきました。 

    「一段目と二段目は僕らも見ました…三段目は…D子だけです…」 
    言い終わった途端、D子のお母さんがものすごい力で私達の体を掴み、「何で止めなかったの!?あんた達友達なんでしょう!?何で止めなかったのよ!?」と叫びだしたのです。 
    D子のお父さんや他の親達が必死で押さえ「落ち着け!」「奥さんしっかりして!」となだめようとし、しばらくしてやっと落ち着いたのか、D妹を連れてまた二階へ上がっていってしまいました。 
    そこでいったん場を引き上げ、私達四人はB君の家に移りB君の両親から話を聞かされました。 
    「お前達が行った家な、最初から誰も住んじゃいない。あそこはあの鏡台と髪の為だけに建てられた家なんだ。オレや他の親御さん達が子供の頃からあった。」 
    「あの鏡台は実際に使われていたもの、髪の毛も本物だ。それから、お前達が見たっていう言葉。この言葉だな?」 
    そういってB君のお父さんは紙とペンを取り、「禁后」と書いて私達に見せました。 
    「うん…その言葉だよ」 
    私達が応えると、B君のお父さんはくしゃっと丸めたその紙をごみ箱に投げ捨て、そのまま話を続けました。 
    「これはな、あの髪の持ち主の名前だ。読み方は知らないかぎりまず出てこないような読み方だ」 
    「お前達が知っていいのはこれだけだ。金輪際あの家の話はするな。近づくのもダメだ。わかったな?とりあえず今日はみんなうちに泊まってゆっくり休め。」 
    そう言って席を立とうとしたB君のお父さんにB君は意を決したようにこう聞きました。 
    「D子はどうなったんだよ!?あいつは何であんな…」と言い終わらない内にB君のお父さんが口を開きました。 


    30 :パンドラ[禁后]8:2011/12/16(金) 17:17:19.70 ID:s+XHJkPg0
    「あの子の事は忘れろ。もう二度と元には戻れないし、お前達とも二度と会えない。それに…」 
    B君のお父さんは少し悲しげな表情で続けました。 
    「お前達はあの子のお母さんからこの先一生恨まれ続ける。今回の件で誰かの責任を問う気はない。だが、さっきのお母さんの様子でわかるだろ?お前達はもうあの子に関わっちゃいけないんだ」 
    そう言って、B君のお父さんは部屋を出ていってしまった。 
    私達は何も考えられなかった。 
    その後どうやって過ごしたかもよくわからない。 
    本当に長い1日でした。 

    それからしばらくは普通に生活していました。 
    翌日から私の親もA達の親も一切この件に関する話はせず、D子がどうなったかもわかりません。 
    学校には一身上の都合となっていたようですが、一ヵ月程してどこかへ引っ越してしまったそうです。 
    また、あの日私達以外の家にも連絡が行ったらしく、あの空き家に関する話は自然と減っていきました。 
    ガラス戸などにも厳重な対策が施され中に入れなくなったとも聞いています。 
    私やA達はあれ以来一度もあの空き家に近づいておらず、D子の事もあってか疎遠になっていきました。 
    高校も別々でしたし、私も三人も町を出ていき、それからもう十年以上になります。 

    ここまで下手な長文に付き合ってくださったのに申し訳ないのですが、結局何もわからずじまいです。 
    ただ、最後に… 
    私が大学を卒業した頃ですが、D子のお母さんから私の母宛てに手紙がありました。 
    内容はどうしても教えてもらえなかったのですが、その時の母の言葉が意味深だったのが今でも引っ掛かっています。 

    「母親ってのは最後まで子供の為に隠し持ってる選択があるのよ。もし、ああなってしまったのがあんただったとしたら、私もそれを選んでたと思うわ。それが間違った答えだとしてもね」 

    代々、母から娘へと三つの儀式が受け継がれていたある家系にまつわる話。 
    まずはその家系について説明します。 
    その家系では娘は母の「所有物」とされ、娘を「材料」として扱うある儀式が行われていました。 

    31 :パンドラ[禁后]9:2011/12/16(金) 17:17:57.19 ID:s+XHJkPg0
    母親は二人または三人の女子を産み、その内の一人を「材料」に選びます。 
    (男子が生まれる可能性もあるはずですが、その場合どうしていたのかはわかりません) 
    選んだ娘には二つの名前を付け、一方は母親だけが知る本当の名として生涯隠し通されます。 
    万が一知られた時の事も考え、本来その字が持つものとは全く違う読み方が当てられるため、字が分かったとしても読み方は絶対に母親しか知り得ません。 
    母親と娘の二人きりだったとしても、決して隠し名で呼ぶ事はありませんでした。 
    忌み名に似たものかも知れませんが、「母の所有物」であることを強調・証明するためにしていたそうです。 
    また、隠し名を付けた日に必ず鏡台を用意し、娘の10、13、16歳の誕生日以外には絶対にその鏡台を娘に見せないという決まりもありました。 
    これも、来たるべき日のための下準備でした。 

    本当の名を誰にも呼ばれることのないまま、「材料」としての価値を上げるため、幼少時から母親の「教育」が始まります。 
    (選ばれなかった方の娘はごく普通に育てられていきます) 
    例えば… 
    ・猫、もしくは犬の顔をバラバラに切り分けさせる 
    ・しっぽだけ残した胴体を飼う 
    (娘の周囲の者が全員、これを生きているものとして扱い、娘にそれが真実であると刷り込ませていったそうです) 
    ・猫の耳と髭を使った呪術を教え、その呪術で鼠を殺す 
    ・蜘蛛を細かく解体させ、元の形に組み直させる 
    ・糞尿を食事に(自分や他人のもの)など。 

    全容はとても書けないのでほんの一部ですが、どれもこれも聞いただけで吐き気をもよおしてしまうようなものばかりでした。 
    中でも動物や虫、特に猫に関するものが全体の3分の1ぐらいだったのですが、これは理由があります。 
    この家系では男と関わりを持つのは子を産むためだけであり、目的数の女子を産んだ時点で関係が断たれるのですが、条件として事前に提示したにも関わらず、家系や呪術の秘密を探ろうとする男も中にはいました。 
    その対応として、ある代からは男と交わった際に呪術を使って憑きものを移すようになったのです。 
    それによって自分達が殺した猫などの怨念は全て男の元へ行き、関わった男達の家で憑きもの筋のように災いが起こるようになっていたそうです。 
    そうする事で、家系の内情には立ち入らないという条件を守らせていました。 


    32 :パンドラ[禁后]10:2011/12/16(金) 17:19:29.69 ID:s+XHJkPg0
    こうした事情もあって、猫などの動物を「教育」によく使用していたのです。 
    「材料」として適した歪んだ常識、歪んだ価値観、歪んだ嗜好などを形成させるための異常な「教育」は代々の母娘間で13年間も続けられます。 

    その間で三つの儀式の内の二つが行われます。 
    一つは10歳の時、母親に鏡台の前に連れていかれ、爪を提供するように指示されます。 
    ここで初めて、娘は鏡台の存在を知ります。 
    両手両足からどの爪を何枚提供するかはそれぞれの代の母親によって違ったそうです。 
    提供するとはもちろん剥がすという意味です。 
    自分で自分の爪を剥がし母親に渡すと、鏡台の三つある引き出しの内、一番上の引き出しに爪と娘の隠し名を書いた紙を一緒に入れます。 
    そしてその日は一日中、母親は鏡台の前に座って過ごすのです。 
    これが一つ目の儀式。 

    もう一つは13歳の時、同様に鏡台の前で歯を提供するように指示されます。 
    これも代によって数が違います。 
    自分で自分の歯を抜き、母親はそれを鏡台の二段目、やはり隠し名を書いた紙と一緒にしまいます。 
    そしてまた一日中、母親は鏡台の前で座って過ごします。 
    これが二つ目の儀式です 
    この二つの儀式を終えると、その翌日?16歳までの三年間は「教育」が全く行われません。 
    突然、何の説明もなく自由が与えられるのです。 
    これは13歳までに全ての準備が整ったことを意味していました。 
    この頃には、すでに母親が望んだとおりの生き人形のようになってしまっているのがほとんどですが、わずかに残されていた自分本来の感情からか、ごく普通の女の子として過ごそうとする娘が多かったそうです。 

    そして三年後、娘が16歳になる日に最後の儀式が行われます。 
    最後の儀式、それは鏡台の前で母親が娘の髪を食べるというものでした。 
    食べるというよりも、体内に取り込むという事が重要だったそうです。 
    丸坊主になってしまうぐらいのほぼ全ての髪を切り、鏡台を見つめながら無我夢中で口に入れ飲み込んでいきます。 
    娘はただ茫然と眺めるだけ。 
    やがて娘の髪を食べ終えると、母親は娘の本当の名を口にします。 
    娘が自分の本当の名を耳にするのはこの時が最初で最後でした。 


    33 :パンドラ[禁后]11:2011/12/16(金) 17:20:10.06 ID:s+XHJkPg0
    これでこの儀式は完成され、目的が達成されます。 
    この翌日から母親は四六時中自分の髪をしゃぶり続ける廃人のようになり、亡くなるまで隔離され続けるのです。 
    廃人となったのは文字通り母親の脱け殻で、母親とは全く別のものです。 
    そこにいる母親はただの人型の風船のようなものであり、母親の存在は誰も見たことも聞いたこともない誰も知り得ない場所に到達していました。 
    これまでの事は全て、その場所へ行く資格(神格?)を得るためのものであり、最後の儀式によってそれが得られるというものでした。 
    その未知なる場所ではそれまで同様にして資格を得た母親たちが暮らしており、決して汚れることのない楽園として存在しているそうです。 
    最後の儀式で資格を得た母親はその楽園へ運ばれ、後には髪をしゃぶり続けるだけの脱け殻が残る…そうして新たな命を手にするのが目的だったのです。 
    残された娘は母親の姉妹によって育てられていきます。 
    一人でなく二?三人産むのはこのためでした。 
    母親がいなくなってしまった後、普通に育てられてきた母親の姉妹が娘の面倒を見るようにするためです。 
    母親から解放された娘は髪の長さが元に戻る頃に男と交わり、子を産みます。 
    そして、今度は自分が母親として全く同じ事を繰り返し、母親が待つ場所へと向かうわけです。 


    ここまでがこの家系の説明です。 
    もっと細かい内容もあったのですが、二度三度の投稿でも収まる量と内容じゃありませんでした。 
    なるべく分かりやすいように書いたのですが、今回は本当に分かりづらい読みづらい文章だと思います。 
    申し訳ありません。 
    本題はここからですので、ひとまず先へ進みます。 

    実は、この悪習はそれほど長く続きませんでした。 
    徐々にこの悪習に疑問を抱くようになっていったのです。 
    それがだんだんと大きくなり、次第に母娘として本来あるべき姿を模索するようになっていきます。 
    家系としてその姿勢が定着していくに伴い、悪習はだんだん廃れていき、やがては禁じられるようになりました。 
    ただし、忘れてはならない事であるとして、隠し名と鏡台の習慣は残す事になりました。 
    隠し名は母親の証として、鏡台は祝いの贈り物として受け継いでいくようにしたのです。 
    少しずつ周囲の住民達とも触れ合うようになり、夫婦となって家庭を築く者も増えていきました。 

    34 :パンドラ[禁后]12:2011/12/16(金) 17:21:36.42 ID:s+XHJkPg0
    そうしてしばらく月日が経ったある年、一人の女性が結婚し妻となりました。 
    八千代という女性です。 
    悪習が廃れた後の生まれである母の元で、ごく普通に育ってきた女性でした。 
    周囲の人達からも可愛がられ平凡な人生を歩んできていましたが、良き相手を見つけ、長年の交際の末の結婚となったのです。 
    彼女は自分の家系については母から多少聞かされていたので知っていましたが、特に関心を持った事はありませんでした。 
    妻となって数年後には娘を出産、貴子と名付けます。 
    母から教わった通り隠し名も付け、鏡台も自分と同じものを揃えました。 
    そうして幸せな日々が続くと思われていましたが、娘の貴子が10歳を迎える日に異変が起こりました。 
    その日、八千代は両親の元へ出かけており、家には貴子と夫だけでした。 
    用事を済ませ、夜になる頃に八千代が家に戻ると、信じられない光景が広がっていました。 
    何枚かの爪が剥がされ、歯も何本か抜かれた状態で貴子が死んでいたのです。 
    家の中を見渡すと、しまっておいたはずの貴子の隠し名を書いた紙が床に落ちており、剥がされた爪と抜かれた歯は貴子の鏡台に散らばっていました。 
    夫の姿はありません。 
    何が起こったのかまったく分からず、娘の体に泣き縋るしか出来ませんでした。 
    異変に気付いた近所の人達がすぐに駆け付けるも、八千代はただずっと貴子に泣き縋っていたそうです。 
    状況が飲み込めなかった住民達はひとまず八千代の両親に知らせる事にし、何人かは八千代の夫を探しに出ていきました。 
    この時、八千代を一人にしてしまったのです。 
    その晩のうちに、八千代は貴子の傍で自害しました。 
    住民達が八千代の両親に知らせたところ、現場の状況を聞いた両親は落ち着いた様子でした。 
    「想像はつく。八千代から聞いていた儀式を試そうとしたんだろ。八千代には詳しく話したことはないから、断片的な情報しか分からんかったはずだが、貴子が10歳になるまで待っていやがったな。」と言って、八千代の家へ向かいました。 
    八千代の家に着くと、さっきまで泣き縋っていた八千代も死んでいる…住民達はただ愕然とするしかありませんでした。 
    八千代の両親は終始落ち着いたまま、「わしらが出てくるまで誰も入ってくるな」と言い、しばらく出てこなかったそうです。 


    35 :パンドラ[禁后]13:2011/12/16(金) 17:22:55.87 ID:s+XHJkPg0
    八千代の両親は終始落ち着いたまま、「わしらが出てくるまで誰も入ってくるな」と言い、しばらく出てこなかったそうです。 
    数時間ほどして、やっと両親が出てくると「二人はわしらで供養する。夫は探さなくていい。理由は今に分かる。」と住民達に告げ、その日は強引に解散させました。 
    それから数日間、夫の行方はつかめないままだったのですが、程なくして八千代の家の前で亡くなっているのが見つかりました。 
    口に大量の長い髪の毛を含んで死んでいたそうです。 
    どういう事かと住民達が八千代の両親に尋ねると、「今後八千代の家に入ったものはああなる。そういう呪いをかけたからな。 
    あの子らは悪習からやっと解き放たれた新しい時代の子達なんだ。こうなってしまったのは残念だが、せめて静かに眠らせてやってくれ。」と説明し、八千代の家をこのまま残していくように指示しました。 
    これ以来、二人への供養も兼ねて、八千代の家はそのまま残される事となったそうです。 
    家のなかに何があるのかは誰も知りませんでしたが、八千代の両親の言葉を守り、誰も中を見ようとはしませんでした。 
    そうして、二人への供養の場所として長らく残されていたのです。 

    その後、老朽化などの理由でどうしても取り壊すことになった際、初めて中に何があるかを住民達は知りました。 
    そこにあったのは私達が見たもの、あの鏡台と髪でした。 
    八千代の家は二階がなかったので、玄関を開けた目の前に並んで置かれていたそうです。 
    八千代の両親がどうやったのかはわかりませんが、やはり形を成したままの髪でした。 
    これが呪いであると悟った住民達は出来るかぎり慎重に運び出し、新しく建てた空き家の中へと移しました。 
    この時、誤って引き出しの中身を見てしまったそうですが、何も起こらなかったそうです。 
    これに関しては、供養をしていた人達だったからでは?という事になっています。 
    空き家は町から少し離れた場所に建てられ、玄関がないのは出入りする家ではないから、窓・ガラス戸は日当たりや風通しなど供養の気持ちからだという事でした。 
    こうして誰も入ってはいけない家として町全体で伝えられていき、大人達だけが知る秘密となったのです。 

    ここまでが、あの鏡台と髪の話です。 
    鏡台と髪は八千代と貴子という母娘のものであり、言葉は隠し名として付けられた名前でした。 



    36 :パンドラ[禁后]14:2011/12/16(金) 17:24:53.23 ID:s+XHJkPg0
    ここから最後の話になります。 
    空き家が建てられて以降、中に入ろうとする者は一人もいませんでした。 
    前述の通り、空き家へ移る際に引き出しの中を見てしまったため、中に何があるかが一部の人達に伝わっていたからです。 
    私達の時と同様、事実を知らない者に対して過剰に厳しくする事で、何も起こらないようにしていました。 
    ところが、私達の親の間で一度だけ事が起こってしまったそうです。 
    前回の投稿で私と一緒に空き家へ行ったAの家族について、少しふれたのを覚えていらっしゃるでしょうか。 
    Aの祖母と母がもともと町の出身であり、結婚して他県に住んでいたという話です。 
    これは事実ではありませんでした。 

    子供の頃に、Aの母とBの両親、そしてもう一人男の子(Eとします)を入れた四人であの空き家へ行ったのです。 
    私達とは違って夜中に家を抜け出し、わざわざハシゴを持参して二階の窓から入ったそうです。 
    窓から入った部屋には何もなく、やはり期待を裏切られたような感じでガクッとし、隣にある部屋へ行きました。 
    そこであの鏡台と髪を見て、夜中という事もあり凄まじい恐怖を感じます。 
    ところが四人のうちA母はかなり肝が据わっていたようで、怖がる三人を押し退けて近づいていき、引き出しを開けようとさえしたそうです。 
    さすがに三人も必死で止め、その場は治まりますが、問題はその後に起こりました。 
    その部屋を出て恐る恐る階段を降りるとまたすぐに恐怖に包まれます。 
    廊下の先にある鏡台と髪。 
    この時点で三人はもう帰ろうとしますが、A母が問題を引き起こしてしまいました。 
    私達の時のD妹のように引き出しを開け中のものを出したのです。 
    A母が取り出したのは一階の鏡台の一段目の引き出しの中の「紫逅」と書かれた紙で、何枚かの爪も入っていたそうです。 
    さすがにやばいものでは、と感じた三人はA母を無理矢理引っ張り、紙を元に戻して帰ろうとしますが、じたばたしてるうちに棒から髪が落ちてしまったそうです。 
    空き家の中で最も異様な雰囲気であるその髪にA母も触れる勇気はなく、四人はそのままにして帰ってきてしまいました。 
    それから二、三日はそのまま放っておいたらしいですが、親にバレたら…という気持ちがあったので、元に戻しに行く事になります。 
    B両親はどうしても都合があわなかったため、A母とE君の二人で行く事になりました。 

    37 :パンドラ[禁后]15:2011/12/16(金) 17:25:46.32 ID:s+XHJkPg0
    夜中に抜け出し、ハシゴを使って二階から入ります。 
    階段を降り、家から持ってきた箸で髪を掴んで何とか棒に戻しました。 
    さぁ早く帰ろうとE君は急かしましたが、ホッとしたのかA母はE君を怖がらせようと思い、今度は二段目の引き出しを開けたのです。 
    「紫逅」と書かれた紙と何本かの歯が入っていました。 
    あまりの恐怖にE君は取り乱し泣きそうになっていたのですが、A母はこれを面白がってしまい、E君にだけ中が見えるような態勢で三段目の引き出しを開けたそうです。 
    E君が引き出しの中を見たのはほんの数秒ほどでした。 

    何があった??とA母が覗き込もうとした瞬間、ガンッ!!と引き出しを閉め、ぼーっとしたまま動かなくなりました。 
    A母はE君が仕返しにふざけてるんだと思ったのですが、何か異常な空気を感じ、突然怖くなって一人で帰ってしまったのです。 
    家に着いてすぐに母親に事情を話すと、母親の顔色が変わり異様な事態となりました。 
    E君の両親などに連絡し、親達がすぐに空き家へ向かいます。 
    数十分ぐらいして、家で待っていたA母は親達に抱えられて帰ってきたE君を少しだけ見ました。 
    何かを頬張っているようで、口元からは長い髪の毛が何本も見えていたそうです。 
    この後B両親も呼び出され、親も交えて話したそうですが、E君の両親は三人に何も言いませんでした。 
    ただ、言葉では表せないような表情でずっとA母を睨み付けていたそうです。 

    この後、三人はあの空き家にまつわる話を聞かされました。 
    E君の事に関しては、私達に言ったのと全く同じ事を言われたようでした。 
    そして、E君の家族がどこかへ引っ越していくまでの一ヵ月間ぐらいの間、毎日A母の家にE君の両親が訪ねてきていたそうです。 
    この事でA母は精神的に苦しい状態になり、見かねた母親が他県の親戚のところへ預けたのでした。 
    その後A母やE君がどうしていたのかはわかりませんが、A母が町に戻ってきたのはE君への償いからだそうです。 

    38 :パンドラ[禁后]16:2011/12/16(金) 17:26:21.57 ID:s+XHJkPg0
    以上で話は終わりです。 
    最後に鏡台の引き出しに入っているものについて。 
    空き家には一階に八千代の鏡台、二階に貴子の鏡台があります。 
    八千代の鏡台には一段目は爪、二段目は歯が、隠し名を書いた紙と一緒に入っています。 
    貴子の鏡台は一、二段目とも隠し名を書いた紙だけです。 
    八千代が「紫逅」、貴子が「禁后」です。 

    そして問題の三段目の引き出しですが、中に入っているのは手首だそうです。 
    八千代の鏡台には八千代の右手と貴子の左手、貴子の鏡台には貴子の右手と八千代の左手が、指を絡めあった状態で入っているそうです。 
    もちろん、今現在どんな状態になっているのかはわかりませんが。 
    D子とE君はそれを見てしまい、異常をきたしてしまいました。 
    厳密に言うと、隠し名と合わせて見てしまったのがいけなかったという事でした。 
    「紫逅」は八千代の母が、「禁后」は八千代が実際に書いたものであり、三段目の引き出しの内側にはそれぞれの読み方がびっしりと書かれているそうです。 
    空き家は今もありますが、今の子供達にはほとんど知られていないようです。 
    娯楽や誘惑が多い今ではあまり目につく存在ではないのかも知れません。 
    地域に関してはあまり明かせませんが、東日本ではないです。 

    それから、D子のお母さんの手紙についてですが、これは控えさせていただきます。 
    D子とお母さんはもう亡くなられていると知らされましたので、私の口からは何もお話出来ません。 

    引用元:https://toro.5ch.net/test/read.cgi/occult/1323497636/

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